表現上の注意【5】
大手新聞掲載の「事件記事」の書き直し作業は進みましたか。
悪文は「今年2月、警視庁がインターネットサイトの架空請求グループの仲間を監禁して暴行し、四週間のけがをさせた上、現金を奪ったとして、和歌山県の無職の男ら五人を逮捕した」でした。私は、以下のように直しました。
「警視庁は今年2月、和歌山県の無職の男ら五人を逮捕した。五人は、インターネットサイトの架空請求グループの仲間を監禁して暴行し、四週間のけがをさせた上、現金を奪った疑いがもたれている」。
こうすれば、主語と述語の関係がすっきりするし、挟まっていた動詞に惑わされることはなくなります。逮捕の事実と、犯罪事実をまぜこぜにしない工夫をするだけで、こんなにわかりやすくなるのです。
しかし、私が直した原稿は完全か、というと、実のところ、まだ駄目なんです。
新聞記事に必須の「5W1H」が完全にそろっていないのです。まず、警視庁が逮捕するのはいいが、その逮捕容疑がわからない。何故、どういう理由で、といった「WHY」が抜け、五人の犯罪行為を説明するくだりでは、いつ監禁し、暴行したか、の「WHEN」が抜けています。次回、「5W1H」を改めておさらいしましょう。
category:未分類 | at 16:04 pm | Comments (0)