PTA広報紙1分半うんちく-第五話-「未曾有」が読めなかった総理大臣
ある大学の先生の話です。
「案の定」と黒板に書き、読みを生徒に聞いたところ、答えは「あんのてい」だったそうです。逆に「あんのじょう」を漢字で書かせたところ、答えは「案の上」。先生は「最近の大学生の国語力は中学生以下に落ちているのではないか」と嘆いておられました。
しかし、これなどはまだしも。自民党が歴史的な惨敗を喫し、政権を明け渡した09年の日本の政界では、これ以上の深刻な話で揺れました。
その元凶の一人は、秋葉おたくに絶大な人気を誇ったはずの総理大臣です。あるときの演説で、原稿にあった「未曾有(みぞう)」を「みぞうゆう」と読んで失笑を買いました。また、同年8月の長崎平和祈念式典あいさつでは「癒すことのできない傷跡(きずあと)」を「しょうせき」と読んでいます。
もう一人は、民主党政権の要に座った平野官房長官でした。定例の記者会見で「誘拐(ゆうかい)」を「ゆうわく」と読み、新内閣で初の笑いものになりました。
当たり前の漢字が読めない、中学校で習うはずの漢字が書けない、という事実はその人の評価に相当の影響を与えます。みぞうゆう総理は、これでトップの座を降りることになったのですから。国語力は表現力の基礎。さて、あなたの基礎は?