プロフィール

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長谷川 信正

1943年生まれ、福島県会津若松市出身。
早稲田大学第一文学部国語国文学科を卒業、毎日新聞社に入社。
事件、行政、教育分野などを担当。デスク時代には文章教室の講師などを務めた。また、朝のワイドニュース番組にコメンテーターとしてレギュラー出演、やさしい語り口で人気を集めた。
退職後は、著述業を中心とする「NH企画」を設立。記者時代の体験と文章力を生かした講演・執筆活動のほか、最近は「経営者のための文章講座」を開講、若手経営者らに好評を得ている。

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最後に

  いよいよ最後になりました。

 
 最後は、いい文章を書くため、日々、どんな努力を重ねたらいいのか、に触れます。といって、妙薬があるわけでも、極めつけの方法があるわけでもありません。
 
 ひとつは「楽しく読める書物で名文に親しみましょう」です。二つ目は「名文を書き写し、社説をなぞってみよう」です。そして三つ目。「日記を書き、文章力を鍛えよう」です。
 
 「良い文章を暗記する。暗記するために書き写すという練習は、パソコンやワープロ時代には忘れ去られてしまっているけれども、文章を勉強するためには、大いに役立つ方法だろう」(板坂元「極めつきの文章読本」)
 
 「明治の作家、樋口一葉は、厖大な量の日記を書き残した。彼女は文章を書く練習のつもりで書き始めたのであったが、後期のものには著しい文章上達の跡が認められる。(中略)書く習慣をつけることが、文章練達の近道である」(塩田良平「文章の作り方」)
 
 先達二人の主張も、「三つの努力」の大事さを語ってくれています。よく読み、よく書く。そして、読み、書くことを好きになってほしい。
 
 遠回りなようで一番の近道が「三つの努力」であると、再度言って講座を終えたいと思います。  ありがとうございました。
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category:未分類 | at 11:08 am | コメント (0)

表現上の注意【23】

  先人たちの文章論を続けます。

 
「辞書なしに文章を書こうというのは、車がないのに運転しようというようなもの、関が原の合戦に刀や槍を全部置いて丸腰でかけつけるようなものです」(井上ひさし、岩手県一関市であった「作文教室」での発言)
 
「オーダー、ミーティング、チャレンジなどは、在来の日本語で言った方が文章に落ち着きが出る。カタカナを多く使った方が高級なように思っている人がいるとすれば、大きな誤解である」(外山滋比古「文章を書くこころ」)
 
「紋切り型の持つ一つの特徴は『逃げ』である。適当な言葉がみつからないので、だれかが使った有り合わせの言葉をもってきて、あっさり逃げる。これでは読む人に感銘を与えることができない」(大隈秀夫「新訂 文章の実習」)
 
「(文章の)書き出しは、人でいえば顔であり、家でいえば玄関にあたる。これは、私の独断ではない。先輩たちが『作文や論文の良い悪いは十行も読めばわかる』といっていたからだ」(猪狩章「イカリさんの文章教室」)
 
「骨董の目利きになるためには、よい物を、まず一流品を見続けなければだめだといいます。二流品を見ていては目がだめになる。文章もそれと同じです。よいと思われるもの、心をひくものを見馴れているうちに、ここはおかしいなとか気づくようになる」(大野晋「日本語練習帳」)
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category:未分類 | at 10:57 am | コメント (0)

表現上の注意【22】

 「文章の品格というものは、技術を超えたところにあります。文章技術はむろん大切です。が、それだけでは『品格』という巨大なものを肩にかつぐわけにはいかない。人間全体の力が充実しないと、肩にかつぐことはできないもののようです」

 
 前回触れた文章の品格について、朝日新聞の元記者、辰濃和男さんが「文章の書き方」の中で、こう書いています。私は「ルールを守って書け」といいましたが、辰濃さんは「それだけではだめ」といいます。人間全体の力が充実しないと、「品格」という巨大なものは肩にかつげない、というのです。そうかもしれません。
 
 辰濃和男さんに限らず、多くの先人たちが「どうしたらいい文章が書けるようになるか」について、書いています。谷崎潤一郎に始まり、三島由紀夫や井上ひさしまで。作家、国語学者、心理学者、元新聞記者らが繰り返し書いたものの中で、なるほどとうなずけるものも少なくありません。それらを少し、書き連ねてみましょう。
 
「文章は結局、短文に始まり短文に還る、ということです」(扇谷正造「現代文の書き方」)
 
「文章の基本はわかりやすさである。わかりやすい文章とは、平易なことばをつかい、論理が明快であり、表現が豊かで的確であること、つまり読み手に自分のつたえたい点をはっきりとつたえきる達意の文章ということである」(小林弘忠「マスコミ小論文作法」)
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category:未分類 | at 10:54 am | コメント (0)

表現上の注意【21】

  「分かりやすく書く」「短い文章で書く」「正しい言葉を使う」「面白く書く」。

 
 いろんな場面で、形を変え、「いい文章とは何か」を、こんな言い方で綴ってきました。いい文章とは結局、これらのすべてを具現したものなのでしょう。
 
 おっと。もう一つ、大事なことを忘れていました。
 
 それは「品位(品格)を大事にした文を心がける」ことです。「書く」という行為には、その人の品格がにじみ出ます。では、「品格のある文章」とは具体的にどんなものか。
 
 いろんなとらえ方があるのでしょうが、私は「読む人に不快感を与えない文章」が、品位のある文章だと思っています。
 
 不快感を与えないため、「擬声語や擬態語、疑問符や感嘆符などをやたら多用する軽薄な表現方法を避ける」 「新語、流行語、外来語を極力避ける」 「紋切り型の表現を避け、決まり文句など先人の手あかにまみれた言葉は使わない」といったことを、表現上のルールとして守る必要があります。「わーっ」とか「ぎゃー」とかの擬声語が文章にたくさん入っていたら、どんな印象になるか。
 
 ルールを身につけ、ルールを守って書くことが、なによりも大事です。そうした作業の成果が品格ある文章であり、また、人間の品格を示すものなのです。
 
category:未分類 | at 15:26 pm | コメント (0)

表現上の注意【20】

  いい文章を書くにはどうしたらよいか。70回を超えるこの講座の大半を、そのことに使ってきました。ぼちぼち「総仕上げ」です。すべてを、急ぎ足で説明します。まず、分かりやすい文章を書く上で、ぜひ守ってほしいと、私が思っていることを列記します。

 
「受身の文章は、わかりにくく説得力がない」
「主語と述語は遠ざけず、近いところにおく」
「長すぎる修飾語はつけない」
「外来語、外国語を乱用しない」
「硬すぎる漢語、文語、専門用語はやさしく言い換える」
「耳慣れない略語は使わない」
「同じ言葉、同じ言い回しを避ける」        ―――――などでしょうか。
 
 外来語、硬い専門用語、耳慣れない略語を使いまくってきてはいませんか。それこそ、自分の知識をひけらかすだけのこと。ひけらかしにサヨナラし、だれにでも分かるように書くことを心がける。これこそ「達意の文」の極意です。
 
「そして」や「が」という接続詞で文章をつないでいく書き方も、ほめられたものではありません。できれば、接続詞ともサヨナラしましょう。
 
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category:未分類 | at 4:22 am | コメント (0)